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Case Study 化学

帝人株式会社様、DPPを活用したリサイクルポリカーボネート樹脂のトレーサビリティ実証で循環型材料の価値を可視化

帝人株式会社とCircularise JapanがDPPを活用し、廃車由来のリサイクルポリカーボネート樹脂の原材料由来、リサイクル含有率、トレーサビリティを可視化・検証した事例です。

概要

DPPで循環型材料の価値を可視化

サプライチェーンの透明性向上と規制対応の重要性が高まる中、帝人株式会社はCircularise Japanと連携し、廃車由来のリサイクルポリカーボネート樹脂「Panlite® CM(パンライト CM)」および「Multilon® CM(マルチロンCM)」を対象としたデジタルプロダクトパスポート(DPP)の実証プロジェクトを実施しました。本プロジェクトでは、原材料由来やリサイクル含有率、トレーサビリティ情報をサプライチェーン全体で可視化するとともに、機密情報を保護しながら信頼性の高いデータ共有を実現しました。これにより、ELV規則をはじめとする将来的な規制対応に向けた基盤構築と、循環型材料の価値を証明する仕組みの有効性を示しました。

会社概要

帝人株式会社(東証:3401)は、アパレル&インダストリーズ、ヘルスケア&ライフソリューションズ、エレクトロニクス&エナジー、スペシャリティマテリアルズの領域で、顧客起点型のビジネスモデルを通じて価値を共創するグローバル企業グループです。1918年に日本初のレーヨンメーカーとして設立され、現在は約125社のグループ会社、約15,700人の従業員を擁しています。帝人は、「Pioneering solutions together for a healthy planet」というパーパスのもと社員および社外パートナーと連携し、「未来の社会を支える会社になる」という長期ビジョンの実現を目指して事業を展開しています。2026年3月期においては、連結売上高8,732億円、総資産9,201億円を計上しました。

Circularise

Circulariseは、オランダ発のサプライチェーン・トレーサビリティ・プラットフォームで、企業のレジリエンス向上、排出量削減、新たなビジネス価値の創出を支援しています。2016年の創業以来、原料レベルから最終製品に至るまで、全体を通してデータを収集・可視化する、安全な製品トレーサビリティを実現してきました。当社のソリューションは、デジタルプロダクトパスポート(DPP)の導入を支援するとともに、ESPR(エコデザイン製品規則)、RED III(再生可能エネルギー指令 第3版)、欧州バッテリー規則といった各種規制への対応をスムーズにします。サムソナイト、エアバスなどのグローバル企業からも信頼を得ており、Circularise の特許技術によって機密性の高いデータを守りながら、監査対応可能なインサイトをご提供します。

2025年にCircularise Japan株式会社を設立し、日本企業の支援体制を強化しております。

お客様がCirculariseを選んだ理由

近年、サプライチェーンの可視化は、単なるコンプライアンス対応にとどまらず、企業競争力を左右する重要な経営課題となっています。特に、関税政策の変化や地政学リスク、各国規制の強化が進む中で、企業には原材料の由来やサプライチェーン全体を正確に把握・証明する能力が求められています。

帝人株式会社は、アラミド繊維や炭素繊維製品を対象に、デジタルプロダクトパスポート(DPP)を活用したトレーサビリティの実証(PoC)を行い、サプライチェーン可視化の実現可能性と課題の双方について知見を蓄積してきました。これまで得られた知見を踏まえ、こうした取り組みをさらに発展させるべく、帝人は自動車部品などに使用されるポリカーボネート(PC)樹脂を対象に、ELV規則を見据えたDPPの有効性に関する実証をCircularise Japan株式会社と共同で実施しました。Circulariseを選定した背景には、これまで実施したPoCを通じて構築された知見と実績に裏打ちされた信頼に加え、同社が各種規制の内容や動向を深く理解したうえでサービスを提供している点があります。これにより、単なるデータの可視化にとどまらず、実際の規制対応を見据えた実効性の高いトレーサビリティ基盤の構築が可能であると判断しました。

帝人が重視したポイントは以下の通りです。

  • サプライチェーン全体を横断したトレーサビリティ
  • DPPによる原材料由来の可視化
  • 規制対応を見据えたデータ管理基盤
  • 機密情報を保護しながらの情報共有
  • 既存システムと連携可能な柔軟性

Circularise は、特許取得済みの技術により、サプライヤー間の機密情報を保護しながら必要な情報のみを共有できる仕組みを提供しています。また、将来的な実装段階において、大規模なシステム刷新を伴わず既存インフラを活用できる点も評価され、今回の取り組みへとつながりました。

Circulariseにおいては、DPPを活用し、既に当社製アラミド繊維や炭素繊維のトレーサビリティを実証いただいていました。そこで、当社が新たに開発した「ソルベントベースドリサイクルPC樹脂」の「見えない来歴を可視化して証明」できる仕組みについてもCirculariseと連携して構築することで、「価値の見える化」を実現し、お客様の潜在課題に応えたいと考え、このたびの実証をお願いすることとしました。

帝人株式会社 樹脂事業本部 サーキュラーマテリアル推進部長 帆高 寿昌

プロジェクトの内容

帝人とCirculariseは、帝人が開発する廃車由来のリサイクルポリカーボネート樹脂「Panlite® CM」及び「Multilon® CM」を対象に、DPPを活用したサプライチェーン可視化プロジェクトを実施しました。これらの樹脂はELV規則に対応する循環型の素材として注目を集めています。

本プロジェクトでは、以下の情報をDPPに紐づけることで、サプライチェーン全体の透明性向上を目指しました。

  • 廃車由来であることを示す原材料情報
  • リサイクル含有率
  • 使用したリサイクル原料に適用したリサイクル手法
  • 物性データ
  • コンプライアンス情報
  • サプライチェーン上のトレーサビリティ情報

さらに、Circulariseの技術により、サプライヤーは製造条件や取引情報などの機密情報を公開することなく、安全にデータ共有を実施しました。これにより、複雑なサプライチェーンにおいても、原材料由来を証明できる環境を構築しています。

プロジェクトの成果

本プロジェクトを通じて、廃車由来のリサイクルポリカーボネート樹脂におけるDPP活用の有効性が確認されました。

主な成果は以下の通りです。

  • 廃車由来材料の真正性を証明
  • リサイクル含有率の可視化を実現
  • サプライチェーンを横断した透明性の向上
  • 機密情報を保護した状態での情報共有を実現
  • 規制対応に活用可能なデータ基盤を構築

また、本プロジェクトは、今後対応が求められる以下の欧州規制への対応強化にも寄与することが期待されています。

  • ESPR(エコデザイン規則)
  • EUバッテリー規則
  • ELV(廃車)規則

本プロジェクトは、2025年11月に 幕張メッセ で開催された環境配慮型材料の総合展示会 サステナブル マテリアル展 - SUSMA -、および2026年4月に上海で開催された Chinaplas展 に出展し、国内外の大手自動車メーカーや部品メーカーから高い関心を集めました。

Panlite® CMリサイクルポリカーボネートのDPPフローMultilon® CMリサイクルPC/ABS樹脂のDPPフロー

2025/11のサステナブルマテリアル展、2026/4のChinaplas展にて、Panlite®CM(ソルベントベースドリサイクルPC樹脂)、Multilon®CM(ELV規則対応マテリアルリサイクルPC/ABS樹脂)のDPPを国内外に披露し、「見えない信頼を見える価値」としてお届けすることで、国内外のお客様から高い関心を得るとともに、顧客起点型ビジネスの取り組みを加速することができました。

帝人株式会社 樹脂事業本部 サーキュラーマテリアル推進部長 帆高 寿昌

今後の展望

帝人とCirculariseは、今回の取り組みを起点に、より広範な製品・事業領域へのDPP活用拡大を目指しています。

今後は、

  • サプライチェーン全体のさらなる可視化
  • 規制対応の効率化
  • サーキュラーエコノミー推進
  • サプライチェーンレジリエンス強化

を進めながら、トレーサビリティを競争優位性へとつなげていく方針です。

今回の事例は、DPPが単なる情報管理ツールではなく、企業の持続可能性・規制対応・事業継続性を支える戦略基盤となり得ることを示しています。

次のステップ

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